精神を病む原因とは
正常と異常のヴォーダーラインはとても曖昧だと思います。常識と非常識の区別も実に曖昧だと感じます。常識なんて誰が考えたかも分からないし、説得力がある人がよしといえば、すぐにこれまでの常識はひっくり返ります。人という生き物自体の存在価値を突き詰めて行けば、終わりのない迷路に入り込んでしまいます。考えは、その人の経験とそれから編み出す空想で左右されるのです。
まともな精神というものは、一体全体どういうものなのでしょうか?誰が的確に把握できるのでしょう?いつまで経っても、どこまで行っても、「まとも」はコレだと立証することはできないと思います。精神が病んでいると本人自身が認識できれば、それなりに「まとも」ということにもなります。
精神を病んだ人を看護する方は、正常と異常の境界をクリアにしないことが肝要だと感じます。あるがままに他者を受け入れることから、始めなければなりません。精神障害に陥っている患者が日常生活を送れるようにサポートするのが精神科の看護師のベースです。
精神科の看護師は、患者が関わるすべてと向き合うことが必要になります。それは肉体的に、精神的に、また社会的にも患者をとりまく環境も含めて、全面的に対峙して行かなければ解決できないことも多いでしょう。
精神科は他の医療科目とは、一線を画しています。よき精神科の看護師になるためには、まず「精神」とは一体なにか?また「精神を病む」とはどういうことなのか?など基本的な考え方を確立しておく必要があります。
「精神を病む」とは、物理的に考察すれば脳が機能不全を起こしていること。一番の要因は、心理的に社会との不適合が生じているのです。患者が生まれつきに授かった素質、後天的に得た能力、受けたストレスに対する処理能力、そのストレスを生じる諸々の環境などが複雑に絡み合って発症していることをまず理解することが精神を支える第一歩です。